a! Menu Filer は Deeper Folder Opener という名前で１９９７年１０月に初公開された。それから Deeper File Opener を経てa! Menu Filer と改名された。Deeper Folder Opener を作ったきっかけは、実はその初公開よりずっと前の１９９１年にさかのぼる。

１９９１年頃はパソコンＯＳ混沌の時代だった。ＰＣ−９８０１とＭＳ−ＤＯＳが優勢だったが、ＭａｃｉｎｔｏｓｈもありＯＳ／２も新しく出てきた。どれが天下をとるかわからない。そのころは私は東京本社に勤務していた。会社で自分の机の上に自分専用のパソコンを置くのはまだ考えにくい時代だったが、バブル真っ盛りの時期でもあり、グループウエアの実験と称してＭａｃｉｎｔｏｓｈが私の机の上に来た。
Ｍａｃｉｎｔｏｓｈの基本的考えはフォルダをどんどんダブルクリックして目的のファイルにたどり着くという方式である。エクスプローラの考えはこの頃全く無かった。このオペレーションに私が慣れてしまったことが Deeper Folder Opener 開発のきっかけとなる。
Ｗｉｎｄｏｗｓ３．１もこの頃少し使ってみたが、Ｍａｃｉｎｔｏｓｈより使い勝手が悪い。解像度も６４０Ｘ４００に固定されていてマルチウインドウの意味が全く無かった。とても画面が狭く感じた。反対にＭａｃｉｎｔｏｓｈは大きなディスプレイを買えばいくらでも解像度が変わるのである。非常にいい設計思想だと思った。「Ｗｉｎｄｏｗｓって馬鹿みたいにメモリーもディスクも消費して、なんで軽いＭＳ−ＤＯＳの上にこんな重いソフトを載せなければならないんだ！」と思った。

その後１９９２年に転勤をして広島支社の大型コンピュータのお守りをする事になり、そのためパソコンとはしばらくオサラバとなった。大型コンピュータは使い方をメーカ毎に個々に覚えなければならないが、覚えてしまえば難しくは無い。この頃コンピュータ関連雑誌もほとんど読まず、パソコン関連の情報のフォローというものを全くしなかった。そのためＤｏｓ／Ｖと言う言葉も時々聞くのだが実際には理解していなかった。Ｗｉｎｄｏｗｓに対しては東京本社の頃の経験もあり「Ｗｉｎｄｏｗｓに未来は無い！まあ一番有望なのはＭａｃｉｎｔｏｓｈ」だと思っていた。

１９９５年に東京本社に戻った。私の部署の全員の机の上にはＷｉｎｄｏｗｓ３．１のパソコンが乗っていた。更に連絡はサーバ上の掲示板かメールで行われている。「広島に行っている間になんと変わってしまったのだ！」このため軽いカルチャーショック状態になってしまった。既にＯＳ戦争は私が広島に行っている間に終結を迎えていたのだ。これはまずいと思い、まず「Ｄｏｓ／Ｖパソコンとは」という本を買って読むことから始めた。
Ｗｉｎｄｏｗｓ３．１の時は当然ファイルマネージャをよく使ったが、Ｗｉｎｄｏｗｓ９５になってもエクスプローラは使わず（使えずと言ったほうが正しい）、フォルダをずっとダブルクリックして目的のファイルにアクセスしていた。Ｍａｃｉｎｔｏｓｈの時の癖がそのまま残ってしまったからだ。もちろんエクスプローラの存在を知ってはいたが起動がめんどくさかった。

Ｍａｃｉｎｔｏｓｈを使っているときからずっと思っていたのだが、深い階層にあるファイルをアクセスするときに５個も６個もフォルダを開き、またいちいち閉じるのがいやになっていた。PowerToys の Contents Menu は知っていたが１階層しかできない。
タスクトレイのアイコンをクリックするとドライブ選択から始まるメニューをたどってフォルダを開くフリーウエアをそのころ使っていた。このソフトで少し気に入らないところもあるので自分で作りたいという気持ちもあった。更にタスクトレイからの起動に疑問を持っていてもっと相対的にフォルダを開きたいと思っていた。ここで思いついてしまった。フォルダの関連付けをいじればなんとかなるのではないか！手動で関連付けを行ってもらう Ver.1.00 が完成した。